平成27年入学式 学校長式辞

 

朝の光が日一日と優しくなり、春風心地よく、あらゆる生命の躍動する時を迎えました。
本日、平成27年度の入学式を挙行するに当たり、赤磐市総務部部長 馬場広行様をはじめ、御来賓の皆様、保護者の皆様の御列席を賜りましたことに、厚く御礼申し上げます。

ただ今入学を許可いたしました160名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。今ここに、高等学校入学という人生の重要な区切りを迎えられたことに対しまして、瀬戸南高校の教職員を代表して心からのお祝いを申し上げたいと思います。

大きな可能性に瞳を輝かせる皆さんは、厳しい高校入試に見事合格され、本日からこの伝統ある瀬戸南高等学校での生活をスタートします。皆さんは自分の意志で本校を選ばれました。これからの本校での高校生活は、かけがえのない青春時代として記憶される、人生の大切な時期となるに違いありません。皆さんが過ごすここ瀬戸南高校は、「社会で通用する大人になる、人間力を高める場所」であります。
能の大成者である世阿弥の言葉に「初心忘るべからず」があります。これは「学び始めた当時の意気込みや謙虚さを忘れず、常に高い志を持って物事に当たらねばならない」という意味です。どうか、皆さんの、今この時のやる気と情熱を3年間持ち続け、苦しい時や挫折しそうになった時には、ぜひ、今日のこの緊張感を思い出して、気持ちを立て直してください。そして、全員が「瀬戸南高校に入学して良かった。充実した高校生活が送れている。」と感じ、そして3年後には、「卒業して良かった」と言える学校を、生徒の皆さんと先生方と一緒に作っていきたいと思っています。

そこで、皆さんが高校生活を始めるに当たり、大切なことを3つお話しておきたいと思います。
一つ目は「学校は学びの場である」ということです。
授業や実習に真剣に取り組んでください。真面目にそしてコツコツと地道に努力を続けてください。本校での学習は、大きく普通教科と専門教科に分かれますが、その何れも、スタートラインは皆同じです。三年後の自分の進路を心に描きながら、取り組んで欲しいと思います。わからないところがあれば、そのままにせずに先生方に質問してください。先生の話に耳を傾け、ノートに書く一文字一文字が、確実に皆さんの学力を伸ばすはずです。また本校では、学力向上のプロジェクトチームを作って、進路実現に向けたサポートの強化を図っています。皆さんが持っている学力や能力を最大限引き出し、競争力を身につけ、高いレベルでの進学や就職を目指していきます。
二つ目は「学校は一つの社会である」ということです。
高等学校は義務教育ではないということから、一層その意味合いは高まります。私たちは皆さんに質の高いマナーやルールを求めます。本校は「社会で通用する大人になる、人間力を高める場所」であると申しました。制服をきちんと着こなして登校し、爽やかなあいさつをして一日の学校生活をスタートしてください。皆さんが見習うべき先輩が、ここ瀬戸南高校には大勢います。
三つ目は「学校は自分の将来の生き方を見出す場所である」ということです。
常に目標や夢を持ってください。一つの目標が達成したら、また次の目標をつくってください。例えば、部活で県大会に出場する。農業クラブの競技会で全国大会に行く。最優秀をとる。まずは資格に挑戦する。将来は保育士になる。手の届きそうな目標から将来の夢まで、色々あると思います。「目標なくして成長なし」です。
私たちは「将来のスペシャリストの育成」を目標の一つに掲げて教育を行っています。本校では、農業、畜産、園芸、福祉、保育といった専門教育に力を入れています。そして専門知識・技術の習得に欠かせないのが、何と言っても実習です。身体を使って技術を体得し、同時に課題研究で社会の現場と連携した実習や交流活動を通して応用的な学力を深めていきます。本校での学びにより、将来、日本の社会の根幹を担う各分野で、自己を活かせる人材として育ってくれることを期待しています。

さて、「一期一会」という言葉がありますが、皆さんが高校生活を送る3年間は、実に「千載
一遇」の巡り合わせとなります。
まず本校は、大正15年の創立から数えて今年で90年目の節目を迎えました。卒業生は一万一千名を数えました。10月1日には、その記念式典、記念行事を執り行う計画です。保護者の皆様にも何かと御協力を賜りますが、よろしくお願い申し上げます。この歴史と伝統ある瀬戸南高校で、皆さんと共に創立90周年という素晴らしい「時」を共有できることを誇りに思い、多くの卒業生や関係者、そして地域の方々に、成長を遂げた瀬戸南高校を見ていただきたい。そして次代に羽ばたかんと逞しく育つ瀬戸南校生を感じていただきたいと考えています。
来年、平成28年の夏には「全国高等学校総合体育大会」が岡山県を中心とする中国地方で開催されます。各種競技の選手としてはもちろん、農業高校の生徒として活躍する場面も多いと考えます。そして、平成29年秋には、農業クラブ全国大会がここ岡山県で開催されます。全国の農業高校から四千人の生徒や関係者が集います。その大会を企画・運営するのが、本校を含めた県内8校の農業高校です。主役は皆さんなのです。
このように、皆さんの3年間は、大きく成長するまたとない機会なのです。色々な事に積極的に挑戦していただきたいと思います。

終わりになりましたが、保護者の皆様には、これまで様々なご苦労を乗り越えられ、本日を
迎えられたことと存じます。教職員一同、お子様のご入学を心よりお喜び申し上げますとともに、お預かりいたしました、大切なお子様の成長と進路実現に向けて、力を尽くしてまいりたいと覚悟を新たにしているところでございます。
高校生は「第二の誕生」と言われる青年期。心身の変化が激しく、不安と悩みの多い時期でありますので、御不安も多々あろうかと思いますが、お子さまも、苦しみながら、時には回り道をしながら、壁を一つ一つ乗り越えて行かれます。高校生にもなるとなかなか親や教師の言う通りにはなりませんが、私たちが一番身近な大人としてのロールモデルであります。だからこそ、子どもに望む姿を、我々が子どもたちに示していかなければならないと思います。
何より大切なことは、ご家庭と学校とが、それぞれの役割を果たしながら、お子様の教育に当たることであります。どうか、学校と家庭が十分に連携し、信頼しあえるよう努めてまいる所存でありますので、本校の教育の推進に一層の御理解と御協力をお願い申し上げまして、式辞とさせていただきます。

平成27年4月8日    岡山県立瀬戸南高等学校長   山 根 康 史