H26年度 2学期終業式 平成26年12月24日(水)

おはようございます。
先生が全校揃ったみんなの前で話ができる機会は、入学式や卒業式を含めて、年間8回あります。今日はその5回目になります。2学期の終わりに当たり、何を話そうかと考えた時、やはり、9月6日に16才10ヶ月という若さで亡くなった、生物生産科2年生の那須葵君の事しかないと思いました。
那須君が亡くなって、今日で109日目になります。振り返ると、通夜・葬儀を終えた9月10日には、御両親と弟さん、そしておじいさんの4人をお招きして、この体育館で追悼式を行いました。追悼式が終わったとき、お父さんが、みんなに向かって「ありがとうございました」とお礼を言われたあの声、通夜の時から泣き続けておられたお母さんのお顔は、今でも忘れることはできません。
式の後、本館の1階から2階に上がる途中に掲示してある、那須君が詠んだ『庭の花 ながめて和む 祖母の顔』という川柳を見ていただき、校長室で那須君の昔話を聞かせてもらいました。その後、帰られる御家族を、教職員30人ほどでお見送りをさせていただきました。
その時、“あっ”と思う光景を目にしました。それは、那須君の遺影を抱いた御家族が、校門の横に止めていた車に乗ろうとされた時、グランドで体育の授業していたみんなが、活動を止めて、御家族の方に正対し、深々と頭を下げていた光景です。先生は、「本当に、人の気持ちがわかる、心のやさしい、素直な生徒達だ」と思いました。
那須君が亡くなった日から、クラスでは、毎朝欠かすことなく黙祷をして、心を落ち着かせてから朝のHRを始めているそうです。また、体育祭には、グランド全部が見渡せる、本部席の机の上に那須君の写真が置かれ、文化祭では、2Aのみんなとともに那須君の写真もステージに上がっていました。クラスの代表がお墓参りに行ったり、修学旅行や文化祭の写真をボードに貼って、御仏壇に持って行って、那須君に見てもらったりしたと、担任の森年先生から聞いています。
我が子がどんな状況であれ、自分より先に逝くということの無念さ、辛さは一生消えるものではないと、先生自身、一教師として、また、人の子の親として痛切に感じます。だからこそ、みんなのこうした行動は、那須君自身が喜んでくれているのはもちろん、それ以上に御家族のお気持ちが、どんなにか慰められているものと思います。
さて、2学期はいろいろな行事がありました。とりわけ、3年生にとっては、自分の将来の進路を決める大事な時期でもありました。今も進路決定に向けて、努力を続けている人がいます。そして、3学期は、一年のまとめの学期として、まだまだいろいろな学習や行事が待っています。那須君がやりたくても、もうできない勉強もスポーツもここにいる我々にはできます。
我々にとって一番大切なのは、やはり“命”です。人生、決して良いことばかりではありません。しかし、いかなることが起こっても、今、“命”あることに感謝し、生き抜くことが、命を授けられた者の使命です。
最後になりましたが、あと一週間もすれば、2015年という新しい年を迎えます。 この冬休み、健康に気を付けるとともに、交通事故やトラブルに巻き込まれることがないよう、細心の注意を払ってください。みんなが明るい新年を迎えられることを願って、2学期終業式の式辞といたします。

①校長式辞②校長式辞