平成28年度 3学期始業式 校長式辞より

○ 「この世に雑用と言う名の用はない」(3学期始業式式辞より 平成29年1月)

一年のスタートにあたり、渡辺和子先生の言葉を一つ、紹介します。

渡辺先生が修道院に入りたての頃、さまざまな雑用に明け暮れていた時代があったそうです。その日も、100人分のお皿を並べる仕事を黙々とこなしていると、あるシスターに「あなたは何を考えながら仕事をしているのですか?(何も考えてないなら)あなたは時間を無駄にしています。時間の使い方は、そのまま『命の使い方』なのですよ。同じ仕事をするなら、一人一人のために祈りながら並べていきなさい」と言われたそうです。
渡辺先生は、この時
「この世に雑用と言う名の用はない。自分が用を雑に行った時にはじめて『雑用』は生まれるんだ」と気づかれたそうです。
そしてそれまで「つまらない」と思っていた「雑用」が、「雑用だからこそ、私の祈りがこめられる。祈りを込めた相手が変わるかどうかはわからないけれど、私自身は変わることができる。」そう、思えるようになったのだそうです。

皆さん、いかがですか?
私はこの言葉と出会ってから、何事をするにも「丁寧に、心を込めて」を心がけています。そうすると、それまで見落としていた、何気ない人の心遣いにも気づくことができるようになりました。そして、面倒くさいと思うようなことでも、気持ちを切り替えて、スッと自分から動けるようになれたと思います。

渡辺先生は、こうおっしゃっておられます。
「生きていく上では、嫌なこと、したくないこと、欲しくないもの、気に入らない相手など、数々の自分にとってありがたくない物事に、向き合わなければならないことがあります。つまらない仕事を、つまらなく・ない仕事に変える術を、若くして修道院で教えてもらえたことに感謝しています。『幸せは、いつも自分の心が決める』のですよ」と。
(「面倒だから、しよう」著・渡辺和子 より)